文学
『水いらず』(「壁」収録)の難易度と感想:サルトルの実存を短編で味わう
『水いらず』はどんな人向け?
『嘔吐』の次にサルトルの小説をもう一冊読みたい人向けです。銃殺前夜を描く名短編「壁」を含む短編集で、実存の思想を凝縮した形で体感できます。
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この本の位置づけ
『この人を見よ』までで源流を深めたら、20世紀の主著に入る前の助走としてサルトルの短編集を挟みます。白眉は銃殺前夜の男を描く「壁」で、死を前にした実存という主題が数十ページに凝縮されています。次はカミュの代表作『ペスト』へ進みます。
読んでよかった点
- 「壁」の、死刑宣告後に世界と身体が意味を失っていく描写は、実存主義の教科書のように鮮烈
- 表題作から「一指導者の幼年時代」まで、自己欺瞞というサルトルの中心概念が別々の人物で描き分けられる
- 一編が短いので、『存在と無』の前の息継ぎとしてちょうどよい
気になる点
- 性や身体の描写が生々しく、読む人を選ぶ短編が含まれる
- 「壁」以外の作品は起伏が少なく、思想への関心がないと退屈に感じる可能性がある
死を前にした実存を短編で体感したら、次は集団の不条理を描く『ペスト』です。
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よくある質問
- 「壁」とはどんな話ですか?
- スペイン内戦で銃殺刑を宣告された男の一夜を描く短編です。死を前にした意識の変容と、結末の皮肉な偶然が強烈な印象を残します。
- 『嘔吐』を読んでいなくても読めますか?
- 読めます。短編集なので独立して楽しめますが、『嘔吐』の後だと実存の主題がどう変奏されているかが見えて面白さが増します。
この書評は読書マップ
『【本格派向け】実存主義を深める10冊と読む順番』
の一部です。分野全体の読む順番はマップをご覧ください。
公開日: 2026/7/5