西洋哲学

『この人を見よ』の難易度と感想:ニーチェが自作を語る最後の自伝

書名
『この人を見よ』
著者
ニーチェ
出版社
光文社(光文社古典新訳文庫)
年代
19世紀
難易度 3/5(分野の基礎を一巡した人向け) ★★★★☆ 4/5

『この人を見よ』はどんな人向け?

『ツァラトゥストラ』や『道徳の系譜学』を読み終えた人向けです。発狂直前のニーチェが自作を一冊ずつ解説する自伝で、主著の総復習として機能します。

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この本の位置づけ

『不安の概念』のキルケゴールと並ぶもう一つの源流、ニーチェの最後の著作です。「なぜわたしはこんなに賢いのか」という章題どおり、自らの生涯と全著作を本人が振り返る自伝で、入門編で読んだ主著の総復習になります。19世紀の深化はここまでで、次は20世紀のサルトルの短編集『水いらず』へ進みます。

読んでよかった点

  • 『ツァラトゥストラ』や『道徳の系譜学』を本人がどう位置づけていたかが分かり、既読の本の解像度が上がる
  • 「運命愛」や「価値の転換」といった中心思想が、生身の生活史と結びついて語られる
  • 誇大な章題に反して文章は短く明晰で、新訳なら数日で読み切れる

気になる点

  • 未読の著作への言及も多く、主著を読んでいない段階では自慢話の羅列に見えかねない
  • ワーグナーや同時代人への攻撃は、注釈で背景を補いながらでないと追いにくい

源流の深化を終えたら、いよいよ20世紀の主役サルトルの短編集『水いらず』です。

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よくある質問

ニーチェの最初の一冊にしてもいいですか?
おすすめしません。「なぜわたしはこんなに良い本を書くのか」など自作解説が中心のため、『ツァラトゥストラ』を先に読んでいるほうが格段に楽しめます。
本当に狂気の産物なのですか?
執筆は発狂の直前ですが、文章そのものは明晰です。誇大な自賛はニーチェ一流の演出として読むのが通例です。

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公開日: 2026/7/5