西洋哲学
『嘔吐』の難易度と感想:実存主義文学の到達点
『嘔吐』はどんな人向け?
実存主義の理論を一通り学んだ後、それが文学としてどう表現されたかを確かめたい人向けです。存在のむき出しの偶然性に触れる体験を描いた、サルトルの代表的小説です。
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この本の位置づけ
港町ブーヴィルで暮らす歴史研究者ロカンタンが、事物の存在そのものに吐き気を覚えるようになる過程を日記体で描いた小説です。このマップの最後に置いたのは、『実存主義とは何か』以来たどってきた思想——『道徳の系譜学』までの価値と存在をめぐる議論——が、ここで一人の人間の体験として結晶しているからです。
読んでよかった点
- マロニエの根の場面で、「実存は本質に先立つ」という命題が概念ではなく体感として迫ってくる
- 日記体なので、世界の見え方が少しずつ変質していく過程を主人公と同じ速度で追える
- 『異邦人』と読み比べると、同じ「世界の無意味さ」への二人の作家の応答の違いが鮮明になる
気になる点
- 物語的な起伏は乏しく、前半は特に淡々としているため、理論への関心がないと退屈しやすい
- 事物の描写が執拗で抽象的な箇所も多く、小説としては読者を選ぶ
ここまで読めば、講演・小説・エッセイ・19世紀の源流という複数の角度から実存主義を一周したことになります。
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よくある質問
- 実存主義の予備知識なしで読めますか?
- 読めますが、単調で退屈に感じる恐れがあります。『実存主義とは何か』などで問題意識を掴んでからのほうが、日記の記述の意味が立ち上がります。
- 有名なマロニエの根の場面とは何ですか?
- 主人公が公園でマロニエの木の根を見つめ、存在が説明も必然性もなくただ「ある」ことに圧倒される場面です。本書の核心とされます。
この書評は読書マップ
『【難易度別】実存主義のおすすめ本7冊と読む順番』
の一部です。分野全体の読む順番はマップをご覧ください。
公開日: 2026/7/5